私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「サンキュー・スモーキング」

2006-10-16 20:52:47 | 映画(さ行)
2006年度作品。アメリカ映画。
タバコ研究アカデミー広報部長のニックは業界の顔として、マスコミの矢面に立ち続ける。彼はその巧みな話術で、世間の批判と戦うが……。タバコ業界を描いた知的論争エンタテイメント
監督はこれが長編デビューとなるジェイソン・ライトマン。
出演は「サスペクト・ゼロ」のアーロン・エッカート。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「ワールド・トレード・センター」のマリア・ベロ ら。


口八丁という言葉があるが、その言葉がこれほど似合う主人公は少ないだろう。
主人公はタバコ業界のPRマンで、嫌煙ムードの中真っ只中、マスコミを舞台に活躍している。そこで語られるタバコに関する主張は、確かにまちがってはいない。だが、基本的に論旨のすり替えなどが行なわれていて、詭弁もいいところだ。そのむちゃくちゃな論旨には見ていて苦笑するほかになかった。
しかしそれゆえに、彼の語りは実にユーモアに富んでいる。討論相手には絶対になりたくないが、鑑賞する分には充分楽しい。彼の、冷静に考えてみれば、確実に何かがまちがっている主張はウィットに富んでいると共にアイロニーにも満ちている。
僕はタバコを吸わない人間だが、そんな人でも不快になることなく、苦笑しながらも楽しめる作品に仕上がっているのはまちがいない。

正直言って、本作はそれだけしか印象に残っていない。親子の話など、いくつかエピソードが組まれていたが、個人的に特に心に訴えるものはなかった。
だが、エンターテイメントしてはまちがいなく及第点の作品である。観ても損はないだろう。

評価:★★★★(満点は★★★★★)

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